【書評】マインフル・ワーク(著者:デイヴィット・ゲレス 翻訳:岩下 慶一)

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 昨日アカデミックシアターで本を探していて気になる本を見つけたので紹介します!
今回のAcademic Shareは「マインドフル・ワーク」です!

この本の場所

 この本のアカデミックシアター内の居場所はNOAH 10「医療と健康と薬」09-gです!

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作品情報

マインドフル・ワーク
「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える
Book Data
著書  : デイヴィット・ゲレス
翻訳  : 岩下 慶一
出版社 : NHK出版
出版日
2015年5月15日
ジャンル : 思想

サクッと紹介

おすすめしたい人
  • 成功した人物の心の保ち方を知りたい方
  • ストレスの抑え方を知りたい方
  • 集中力を高めたい方
目次
第1章 マインドフルな瞬間
第2章 白鳥は舞い降りた
第3章 瞑想の科学
第4章 ストレスを軽減する
第5章 集中力を取り戻す
第6章 思いやりの心
第7章 企業の社会的責任
第8章 リーダーシップに活かす
第9章 マクマインドフルネス
第10章 マインドフルネスの未来
付録 マインドフルネス瞑想のやり方
概要

 マインドフルネスが現代の米国社会にどのように利用されているか説かれています。マインドフルネスは「私たちの頭の中に生じる様々な考えを、それに心を動かされることなく観察する力。」と本文で定義されています。
 不安や貪欲さ、恐怖などを客観的に見つめて対処し、物事を明晰に判断する力を指すのだそうです。

マインドフルネスの実践によって「ストレス低減」「集中力」「他者への思いやり」の3つの資質を得られます。本文ではマインドフルネスを高める手法(瞑想)を始め、グーグルやTwitterの創業者等もマインドフルネスを意識している点や企業にマインドフルネスがどのように捉えられているか描かれています。

本の流れ
    • 第1章

     マインドフルネスの基本原理、企業での利用法、マインドフルネスとは何か

      • 第2章

       歴史について

        • 第3章

         マインドフルネスを実践する事でなぜストレスを減らす事ができるのか、またその方法について書かれています。

          • 第4章

           集中力を高めるためのマインドフルネスについて。

            • 第5章

             思いやりはマインドフルネスから生まれるという考え方について

              • 第6章

               マインドフルネスを導入している企業について(パタゴニア等)

                • 第7~10章

                 マインドフルネスの批判や未來について

                  書評

                  読みやすさについて

                   初めに読みやすさについてなんですが、海外の教養型の本という事で少し読みづらい印象を受けました。予め読みたいポイントを意識して読み飛びしながら読解するとスラスラ読めるなぁと思います。

                  マインドフルネスとは?

                   マインドフルネスって初めて聞いた方も多いと思います。実際私も知らなくて、アカデミックシアターを歩いている時にこのマインドフルネスという言葉が気になって読んで見ました。

                   マインドフルネスの説明は概要に書いた通りなんですが、何か瞑想って言われてると宗教臭いと思います。しかし、筆者も本文中で述べていますが、この本には宗教の見解は無く、現実の社会でどのようにマインドフルネスが利用されているかを解説しています。日ごろの生活にも仕事でも使える知識が書かれている点が評価したいポイントです!

                   でも、マインドフルネスを実践するためにはやっぱり瞑想です。自分で簡単にできるものからセミナーに通うガチなやつもあるそうです...。

                  マインドフルネスから得られるもの

                   マインドフルネスによって「ストレス低減」「集中力」「思いやり」を得る事ができます。それぞれ具体的に【第4章】【第5章】【第6章】で解説されています。それらについて少しだけ紹介したいと思います。

                  【第4章】ストレス低減

                   本文ではマインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)というものが紹介されています。

                   アメリカ心理学会によるとストレス原因のトップ3は「お金、仕事、社会の経済状態」だそうです。
                  このようなストレスをマインドフルネスによって解消する方法が記されています。

                   ストレスは自動反応であるのに対して、ストレス対処法(マインドフルネス)は能動的です。
                  私たちが思考をコントロールできないなら、思考に私たちをコントロールさせない方法を学ぶべき。

                  そこでマインドフルネス。ストレスはただの反応に過ぎず、期待と実際の現状とのミスマッチによって自然に生じます。
                  マインドフルネスは現在の出来事に注意を向ける事でそんな人々を現在の瞬間に連れ戻す事ができるのだそうです。

                  【第5章】集中力

                   マインドフルネス、瞑想によって集中力が向上するのはなんとなくイメージできると思います。
                  実際、本文を読んでいてもそういった内容でした。

                   しかし、この章では私たちの身近な問題に関係しているという点が書かれていました。
                  具体的には、「スポーツ選手とマインドフルネス」、「スマホ中毒をマインドフルネスで解消」、「学業とマインドフルネスが密接な関係にある」というような内容です。

                  【第6章】思いやり

                   意外なのは思いやりにも関係しているというポイントだと思います。私も読む前にこの章が気になっていました。

                  なぜマインドフルネスによって思いやりが生まれるか?

                   マインドフルネスによって自分のストレスを客観的に観察でき、苦しみの原因はすぐに過ぎ去っていくものだと理解できれば、ストレスにどれだけ悩まされるかも理解できるので、自然と余裕が生まれてきます。そうすることで他者の欲求に目を向ける事ができるし、何よりも他者も自分と同じストレスを感じているんだと共感できる。そうすることで自然と思いやりが生まれてくるという事です。

                   その基本的なテクニックは「メッタ=慈悲の瞑想」。例えば自分と他者の幸福を願ったり...お祈りのようなものです。

                  185ページからはFaceBookで自分にとって不適切だと感じる写真を対処する方法について書かれています。

                  マインドフルネスのリアル

                   詳しくは第7章に記述されていますが、マインドフルネスは米国の現実社会において結構浸透しつつあるのだそうです。
                  例えばパタゴニアはマインドフルネスによって堕ちかけた経営も顧客からの信頼によってV字回復したそうですし、Twitterやグーグルの創業者もマインドフルネスについて触れています。

                   他にもスティーブ・ジョブスやマーク・ベニオフといった経営者やGoogleFacebookYahoo!といった企業が研修として取り入れているマインドフルネス瞑想を取り入れているそうです。

                   Googleがマインドフルネスによって得られた効果を一部紹介します。
                  ●自分の仕事に新しい意味や充足感を見つけた
                  ●自分のやっていることが、ずっとうまくできるようになった
                  ●自分のために質の高い時間を持つ重要性に気づき出勤日数を減らした結果、昇進した
                  ●相手の話を聴くのがずっとうまくなって、すぐにカッとしなくなった
                  ●あらゆる状況を前よりもうまく理解できるようになった
                  ●顧客の信用がずっと高まった
                  引用元:Life&Mind

                  マインドフルネスは実社会においてなかなか役に立つものなんですね...。

                  One More Academic

                  パタゴニアについて

                   パタゴニアはアウトドア用衣料品やバッグ、スポーツ用品、靴、戦闘服などを販売している企業です。
                  環境に対して優しい企業と言われており、本文でも利益よりも環境や従業員のマインドネスを優先したと記されています。

                   「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」というミッションを掲げている意味も分かる。
                  パタゴニアに関する有名な著書には「社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論」が挙げられます。

                  これについては多くの書評があったので少し紹介しおきます。

                  【参考記事】
                  ●【書評】:クリーネストライン
                  ●【書評】:Career Supli
                  AmazonCareer Supli

                  Academic Shareについて

                   近大生の私が始めたサークルで、近大に設置されているアカデミックシアターに関連する本を紹介しようと活動しています。

                   このブログも立ち上げたばかりでまだまだ量はないですが、少しでもご参考にして頂けると嬉しいです!

                   また、近大生はもちろん他大学からもメンバーを募集しています! 興味を持って頂けたらTwitterまでご連絡ください。